鶏卵の価格は、飼料価格の上昇を背景に昨年、値上がりが続いていました。家計に直接影響を及ぼすものだけに、当時はかなりワイドショーの話題に上りました。
その状況が、今年は一変しているようです。景気低迷に伴う消費減退が影響し、価格はほぼ一本調子の下落が続いています。供給は抑制傾向にあるものの、それを上回る需要の減少が卵価を直撃した格好です。生産者の経営は徐々に厳しさを増しており、「大幅な淘汰」が少しずつ近づいてきているような予感がします。
鶏卵の指標価格はJA全農たまごの東京地区Mサイズ加重平均が基準となります。2008年の年間平均価格は193円。2007年の168円と比較すると、25円上回りました。昨年は飼料価格の高騰や前半の好景気も手伝い、値上げが相次ぎました。
ところが今年に入り、卵価は低迷しています。現在の価格は1キロ150円とのことで、、昨年の平均価格にはほど遠くなっています。今年に入ってからの月間平均価格をみても1月149円、2月186円、3月180円、4月173円、5月167円、6月160円、7月154円と、2月以降どんどん下げており、どの月も昨年の平均価格を下回っています。
供給は抑制傾向にあるのですが、それ以上に需要の減少が目立っています。1人当たり家計消費量で見ると、1~6月の累計は4905グラムで前年同期比96.4%で、単月ベースではいずれの月も前年を下回っています。
鶏卵の消費は、加工・外食向けと家庭消費に大別されますが、その消費量はほぼ半々と言われています。このうち特に落ち込んでいるのが加工・外食向けです。景気低迷の影響で外食を手控える動きが広がっているほか、ケーキや菓子など嗜好(しこう)品の売れ行きも鈍っていることが原因です。
例年、鶏卵価格は秋口から年末に向け上昇カーブを描くものですが、今の現状を見ると、今年は大幅な値上がりは期待しにくい状況です。飼料の価格が高止まりする一方で、鶏卵の販売価格が飼料高騰前の水準にとどまっている現状では、中小養鶏業者の経営が困難になるのは目に見えています。
これから年末にかけて、一消費者としても注意深く見守っていくべき問題ではないかと思います。
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